恒例の土曜日RUN/2018.08.11

恒例の土曜日RUN。
ここのところスケジュールがタイトになって来ているので、少々疲労が残っている。
こんな時は、ゆったりとした速度で散歩感覚で流すのが、一番の薬。

現在抱えている三本のうち、一番早く本番が来るのが「お気に召すまま」で、現在立ち稽古が進行中。
私には数曲歌うシーンがあるけれども、中でも私的に一番嬉しいのは、バロック時代の作曲家トマス・アーンが作曲した劇中歌、"Under the greenwood tree"が歌える事だ。
アーンは、日本人には馴染みがあるとは言い難いけれども、英国のプロムスのラストナイトを飾る、"Rule, Britannia!"の作曲家と言えば、お分かりの方もいらっしゃるだろう。

トマス・オーガスティン・アーン(Thomas Augustine Arne,1710年3月12日 – 1778年3月5日)は、英国のドルリー・レーン劇場で上演された公演のために、1740年頃にこの曲を書いたと言われている。
奇しくも、"Rule, Britannia!"と同じ年なのだけれども、これはアーンが当時、オペラ・劇音楽作曲家として有名であり、元々この曲が仮面劇のために書かれた曲であった事による、と伝えられている。
この後、アーンはドルリー・レーン劇場を去り、コヴェント・ガーデン劇場(現在のロイヤル・オペラハウス)に活躍の場を移し、更には指揮者として、ヘイマーケット劇場等でヘンデルのオペラを初演したりしている。

この"Under the greenwood tree"の曲調は、勇ましく荘厳な"Rule, Britannia!"とは全く違い、極めて楽観的で牧歌的なイメージである。
通常は、ハイバリトンかテノールが歌う事が多いと聞くけれども、今回は私の低音バージョンでお楽しみ頂く。
私の様なバス歌手が、この役をやるのは、恐らく世界でも珍しい事なのではないだろうか。

一つの作品に関わる時、その作品が書かれた時代背景を知るのはとても楽しい事だ。
この「お気に召すまま」の様に、劇中に最初から歌指定がある場合、様々の時代の作曲家が曲を書いている。
それらの曲の時代背景や作曲家を調べる事で、その時代のシェイクスピア観が、ほんの少しだけれども垣間見えて来るのだ。

台詞や歌の練習は勿論の事だけれども、この様な資料調べも、役を演じる上で大切な要素なのである。
美味しい料理の調理法や、起源を知るとより美味しく感じるのと同じ様に。
そして、時にはそれらが「心の中の台詞」となって、演技に隠し味を添えてくれる。

これから、気温は少しずつではあるけれども、落ち着いてくれる様である。

きちんとした身体で、本番を迎えられる様、今日も走った。