恒例の土曜日RUN/2019.02.09

恒例の土曜日RUN。
今日は予報によれば大雪との事なので、もしかしたら積もっているのでは、と雨戸を開けてみると、揚げパンにかかったグラニュー糖くらいしかない。
どうやら、本格的に降り出すのは、夕方過ぎになってからの事らしい。

レッスン生から、喫煙に関するアドヴァイスを求められる事が、時々ある。
と、書くと驚かれるかもしれないけれども、多種多様なジャンルのレッスン生が集うので、中には喫煙者(スタジオでは禁煙)もいる。
喫煙に関しては、あくまで自己責任とし、特に指導はしていないけれども、レッスン生には私が元喫煙者である事を告げているのて、時々こうしたアドヴァイスを求められる事があるのである。

レッスン生には、個人差がある事と、特にそれについて広く研究した訳ではないので、あくまでも私見と言う事で話をしている。
私見と言っても、喫煙に対する意見等ではなく、50歳で煙草をやめるまで約30余年喫煙して来た、私自身の体験談、と言う意味である。
要するに、喫煙しながら、オペラ・ミュージカル・演劇・ソウルミュージックのステージに立って来た体験談、と言う訳だ。

音大生時代〜30代までは、声に関して言えば、喫煙の影響は特に感じる事はなかった。
当時の私は低音があまり出せず「音色は完全にバスなのに勿体ない」と周囲から言われ続けていたので、それで喫煙する様になったのだが…。
巷で言われている様に、特に声が嗄れたり、低い音が出る様になる訳でもなかったため、よりキツい銘柄を選ぶ様になった。

けれども、キツい銘柄にしても、特に声枯れを感じる事も、低音が充実する事もなかった。
ただ、非常に良く風邪を引く様になっていた事、ブレスが短くなった様に感じた事、ヴィヴラートの振幅が増加した事を覚えている。
そして、30代半ばを過ぎたあたりから、ヴィヴラートの下弦にかすれを感じる様になった。

イタリアをはじめヨーロッパ各国での修行後、40代を過ぎると、ヴィヴラートの上弦にも擦れを感じる様になった。
ただ、その頃にはもうオペラには出ておらず、専らミュージカルに出ていたので、それをあまり気にしなかった。
また、それと並行してソウルミュージックの世界に飛び込み、当時のソウル業界の喫煙率が非常に高かったのも、それに拍車をかけた。

49歳でシェイクスピアと再び出会い、クラシックの発声を取り戻す機会を得、また大切な人のために一大決心をして喫煙をやめた。
やめて10年になるが、とにかく内臓脂肪が減り体型の維持がしやすくなった(勿論、続けていた筋トレの効果が出やすくなった事にもよるのだろう)。
それと同時に、声の密度が戻って来て、ヴィヴラートの上弦・下弦とも擦れはなくなった。

また、ブレスの長さも戻って来て、フレーズの維持が容易になり、非常に歌い易くなっている。
筋トレの効果増大と共に低音域の充実著しく、バスのアリアを歌うのが非常に楽である。
更に風邪も殆ど引かなくなり、芸術活動のクオリティは明らかに高くなっていると感じる。

レッスン生には「これはあくまで私の場合である事を再度おことわりしておく。私と同年代で、未だに喫煙しながら立派に歌っている人もいるからだ。ただ言えるのは、影響が出始めるのは、かなり後になってから、という事。今は大丈夫でも、先はわからない、と言う事だ。何かの参考になれば幸い」と、ことわった上で伝えた。

この記事をお読みの方々にも、この記事は単なる私の体験談であり、喫煙の是非を問うものでない事を、予めおことわりしておく。