恒例の火曜日RUN/2020.08.18-滝は私の再生の場所-

恒例の火曜日RUN。
ちょっと走っただけでもう汗だく…、木陰を見付けては立ち止まり水分補給、の連続。
お陰で、時間がかかった割には、いつもの半分くらいしか距離は稼げなかった。

また滝に行って来た。
前回の払沢の滝に続いて、今度は白岩の滝。
前回が檜原村、今回は日出町と、いずれも東京の西多摩郡を訪れた事になる。

滝は私にとって特別な感慨のある場所である。
事故後のリハビリを経て、何とか歩ける様になった私は、遠出をしてみる事を思い立った。
とにかく何処かへ行こうと地図を買い求め、どんどんと西多摩〜奥多摩の方へ目線を走らせて行った。

名前は思い出せないけれども、どこかの滝を見付けた事を覚えている。
とにかく行ってみようと、支度をして出掛けた。
今なら駅まで1kmの道のりを12〜3分で歩けるけれども、当時はまだ回復したばかり、まず駅に辿り着くのに小一時間もかかってしまった。

それでも何とか電車に乗り、立川で乗り換えて何処かの駅で降りた…駅名は思い出せない。
それから、恐らくはバスかタクシーに乗ったと思うけれども、とにかくどこかの滝に辿り着いた。
着いた時にはもうヘトヘトで、立ち上がれないくらい疲労困憊していた。

先日パートナーと話していて思い出したけれども、人間「大丈夫ですか?」と声をかけられると反射的に「大丈夫です」と言ってしまうそうだ。
この時の私がまさにそれで、本当は助けて欲しいのに、声をかけられるたびに「大丈夫です」と言ってしまっていた。
後から考えて思ったのだけれども、もしかしたら、このまま死んでしまっても良い、と思っていたのかもしれない。

思えばその頃は、再起をかけたリハビリに集中している時はまだ良かったものの、声がまだ回復せず、しゃがれた声を出すのがやっとだった。
そんな先の見えない不安が、ドッと襲って来たのかもしれない。
多分、涙を流していたと思うけれども、顔中汗だくだったので誰にもバレなかったと思う。

ところが暫く佇んでいるうちに体力も回復して来て、立ち上がる元気も出て来た。
改めて滝を眺めると、すぅーっとした清涼感に包まれ、自分の中から何かドロドロしたものが出て行き、代わりに何か清々しいものが入って来る様に感じた。
かなりの高みから、岩肌を伝って落ちて来る水しぶきが、時々顔に当たるのを感じた。

思わず「冷たい…」と口にした。
その声を自分で聴いて驚いた。
部分的にではあるけれども、ちゃんとした声になっいていた。

暫く呆けた様になって、それから無我夢中で帰宅。
帰って来てから一瞬声が回復した原因を必死で探った。
その結果、ある結論に行き着いた。

休んでいても回復には限度がある。
機能を取り戻すには、運動させるしかない。
筋力トレーニングに何とかその機能訓練を盛り込めないものか。

それからは試行錯誤の日々であった。
トレーニングによって声も身体も順調に回復して行った。
それと同時に、生きる意欲をも取り戻して行った。

ある日、私はまたあの滝へ行ってみよう、と思い立った。
…ところが、場所を全く覚えておらず、地図を見ても思い出せなくなっていた。
恐らくは、負の記憶として記憶の奥底に仕舞われてしまってたものと思われる。

仕方なく、鳩ノ巣渓谷にある双竜の滝へ行った。
ここは、ボーイスカウト時代にキャンプを行った場所なので、良く覚えていた。
この前とは全く違う身体の状態で出かけるのは楽しかった。

駅までは15分、下ばかり向いていた前回とは違い、空の青さを楽しみながら歩いた。
双竜の滝に着いてから、老婦人の二人連れに駅までの道を聞かれ、教えて差し上げた。
背後から、お二人が「良い声ねぇ〜」と言ってくださっているのが聞こえ、思わず泣きそうになった。

滝は、私にとって、神様が再生へのきっかけを与えてくださった場所。
白岩の滝で、思わず『非人間賛歌』の一節が浮かんで来た。
-人が 人で あるために 人が 人で あるために-

今、60歳になって、当時は想像も出来なかった健康な状態で滝壺に立つ事が出来る。

そして、あの時よりも良い声の状態で歌える事、これも何よりの喜びである。

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